文献詳細
文献概要
特集 第71回日本臨床眼科学会講演集[2] 原著
強膜軟化症を契機に発症した交感性眼炎の1例
著者: 大橋和広1 宮平大輝1 下地貴子1 那須直子1 冨山浩志1
所属機関: 1社会医療法人敬愛会 中頭病院眼科
ページ範囲:P.537 - P.542
文献購入ページに移動症例:78歳,男性。
経過:両眼の視力低下にて当院を受診。両眼翼状片手術を施行した。術後3か月で両眼の強膜軟化症を発症し,副腎皮質ステロイド薬の点眼および内服にて加療した。術後15か月に両眼の肉芽腫性ぶどう膜炎を発症した。両眼に前房内炎症,豚脂様角膜後面沈着物,虹彩後癒着を認め,眼底は散瞳不良および白内障により透見不良であった。副腎皮質ステロイド薬点眼にて炎症が落ち着き,術後20か月に両眼水晶体再建術を施行した。術後の眼底検査にて両眼夕焼け状眼底,視神経乳頭周囲の輪状脱色素を認め,フルオレセイン蛍光眼底造影にて両眼視神経乳頭の過蛍光および顆粒状の透過蛍光を認めた。眼外症状として白髪,皮膚白斑を認めた。またHLA-DR4が陽性であった。以上より本症例は翼状片手術後の強膜軟化症を契機に発症した交感性眼炎と考えられた。
結論:強膜軟化症は交感性眼炎の初発症状となる可能性がある。
参考文献
掲載誌情報