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特集 第71回日本臨床眼科学会講演集[2] 原著
ロービジョン外来で処方した拡大鏡の倍率と患者の視機能の検討
著者: 乾有利1 永森麻菜美1 植田芳樹1 舘奈保子1
所属機関: 1真生会富山病院アイセンター
ページ範囲:P.551 - P.556
文献購入ページに移動対象と方法:過去7年間に当院のロービジョン外来で,新聞用に拡大鏡を処方した59名を対象とした。男性29名,女性30名で,年齢は55〜93歳,平均77歳である。糖尿病網膜症14名,加齢黄斑変性13名,緑内障8名,強度近視7名,網膜色素変性4名などであり,視機能が良い眼を主として検索した。拡大鏡の倍率は,拡大必要度数(D)を指標とした。
結果:最も強い拡大鏡は,0.1未満の視力不良者が必要とし,平均度数は25.2±7.6Dであった。疾患別では,加齢黄斑変性が最も強い拡大鏡を必要とし,糖尿病網膜症,強度近視,緑内障,網膜色素変性がこれに続いた。中心暗点がある患者は,ない患者よりも強い拡大鏡を必要とした。強い拡大鏡は,視野狭窄が顕著な患者と中心暗点が大きな患者に必要であった。
結論:拡大鏡の度数には,視力と視野が大きく関係した。低視力者ほど度数が大きくなり,視力0.1付近で理論値に近づいた。視野狭窄がある患者では,残存中心視野の大きさと形が拡大鏡の度数に関係した。
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