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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科72巻4号

2018年04月発行

文献概要

特集 第71回日本臨床眼科学会講演集[2] 原著

ロービジョン外来で処方した拡大鏡の倍率と患者の視機能の検討

著者: 乾有利1 永森麻菜美1 植田芳樹1 舘奈保子1

所属機関: 1真生会富山病院アイセンター

ページ範囲:P.551 - P.556

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要約 目的:低視力者に処方した拡大鏡の倍率と,患者の視力,視野,疾患との関連の報告。

対象と方法:過去7年間に当院のロービジョン外来で,新聞用に拡大鏡を処方した59名を対象とした。男性29名,女性30名で,年齢は55〜93歳,平均77歳である。糖尿病網膜症14名,加齢黄斑変性13名,緑内障8名,強度近視7名,網膜色素変性4名などであり,視機能が良い眼を主として検索した。拡大鏡の倍率は,拡大必要度数(D)を指標とした。

結果:最も強い拡大鏡は,0.1未満の視力不良者が必要とし,平均度数は25.2±7.6Dであった。疾患別では,加齢黄斑変性が最も強い拡大鏡を必要とし,糖尿病網膜症,強度近視,緑内障,網膜色素変性がこれに続いた。中心暗点がある患者は,ない患者よりも強い拡大鏡を必要とした。強い拡大鏡は,視野狭窄が顕著な患者と中心暗点が大きな患者に必要であった。

結論:拡大鏡の度数には,視力と視野が大きく関係した。低視力者ほど度数が大きくなり,視力0.1付近で理論値に近づいた。視野狭窄がある患者では,残存中心視野の大きさと形が拡大鏡の度数に関係した。

参考文献

1)高橋正年:旭川医科大学眼科におけるロービジョンケア.あたらしい眼科16:1595-1598,1999
2)本間友里恵:新潟大学ロービジョン外来における緑内障患者の受診状況.あたらしい眼科30:1029-1033,2013
3)西脇友紀:視能訓練士の拡大鏡選定状況 — アンケート調査.日本視能訓練士協会誌43:277-285,2014
4)昆 美保:高度求心性視野狭窄症例の読書機能評価の検討.日本視能訓練士協会誌34:179-184,2005
5)小田浩一:ロービジョンの読書困難を測定しエイドを適切に選択するための読書チャートMNREAD-J.弱視教育39:22-26,2002
6)山本修一:ロービジョンケアの実際.眼科診療クオリファイ26:75-80,中山書店,東京,2015
7)川瀬和秀:緑内障とロービジョンケア.眼科グラフィック2:44-47,2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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