文献詳細
文献概要
特集 第71回日本臨床眼科学会講演集[2] 原著
時期を変えて発症し視神経症を合併した両眼性特発性眼窩炎症の1例
著者: 臼井恵子1 白井久美1 安田慎吾1 井上晃宏2 雑賀司珠也1
所属機関: 1和歌山県立医科大学眼科学講座 2国保日高総合病院眼科
ページ範囲:P.557 - P.563
文献購入ページに移動症例:66歳,女性。複視のため他院脳神経外科を受診し,脳梗塞の診断で抗血小板薬を投与されていた。2週間後,左眼の視力低下を自覚し当院初診となった。左眼は矯正視力(0.01),対光反応鈍延,相対的求心性瞳孔障害陽性,中心暗点,眼球運動障害が認められた。MRI脂肪抑制T2強調像で左上斜筋,内直筋,下直筋,視神経に高信号域がみられたが,占拠性病変はみられなかった。血液検査は異常なかった。特発性眼窩炎症の視神経症合併症例と診断しステロイド治療を開始した。眼球運動は改善したが視力,視野は改善しなかった。約半年後,右眼の視力低下を自覚。右眼は矯正視力(0.4),中心暗点,眼球運動障害がみられた。MRI脂肪抑制T2強調像で右眼上直筋,内直筋,視神経に高信号域がみられた。左眼同様の特発性眼窩炎症と診断しステロイド治療を開始し,視力,眼球運動障害,視野の改善を認めた。ステロイド量を漸減し,再発なく経過している。
結論:両眼性視神経症で左右で異なる時期に発症し視力予後が異なった症例を経験した。視神経症を伴う特発性眼窩炎症は発症早期にステロイド治療を開始することが重要と考えられた。
参考文献
掲載誌情報