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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科72巻4号

2018年04月発行

文献概要

特集 第71回日本臨床眼科学会講演集[2] 原著

片眼のVogt-小柳-原田病治療中に僚眼にMPPEを合併したと考えられる1例

著者: 須藤希実子1 野村隆仁1 石黒利充1

所属機関: 1成田記念病院眼科

ページ範囲:P.587 - P.592

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要約 目的:片眼のVogt-小柳-原田病(原田病)の治療中に,僚眼に多発性後極部網膜色素上皮症(MPPE)が発症した症例の報告。

症例:46歳の男性が左眼の霧視で受診した。

所見と経過:矯正視力は右1.2,左0.1で,左眼の黄斑部に漿液性網膜剝離があった。フルオレセイン蛍光眼底造影と光干渉断層計などの所見から原田病と診断した。ステロイドパルス療法などで左眼の網膜剝離は1か月後に寛解し,視力は1.2に回復した。2か月後に右眼に漿液性網膜剝離が生じた。ステロイドパルス療法には反応せず,その4か月後の蛍光眼底造影で6か所の漏出点があった。MPPEと診断し,5か所の漏出点を光凝固した。2か月後に右眼の網膜剝離は消失した。

結論:片眼の原田病の治療としてステロイド薬を全身投与したことが,僚眼のMPPEの原因となった可能性がある。

参考文献

1)新井香太・清水恵理香・葉山章子・他:ぶどう膜炎治療中にMPPEを合併したと考えられた1例.眼臨紀1:770-775,2008
2)岸本直子・宇山昌延・福島伊知郎・他:網膜色素上皮の修復過程に対する副腎皮質ステロイド剤の影響.日眼会誌97:360-369,1993
3)橋本知余美・大萩 豊・原嘉 昭・他:ステロイド剤内服中に生じた多発性後極部網膜色素上皮症の1例.眼臨94:425-427,2000
4)竹内玲美・菅原道孝・鶴岡三恵子・他:ステロイド全身投与で急性増悪した多発性後極部網膜色素上皮症の1例.眼科47:881-885,2005
5)蕪城俊克:非感染性眼内炎症疾患 全身症状を伴わないもの 後眼部APMPPE,MPPE.岡田アナベルあやめ(編):眼科診療プラクティス16 「眼内炎症診療のこれから」.206-209,文光堂,東京,2007
6)松永裕史:多発性後極部網膜色素上皮症.宇山昌延,西村哲哉,高橋寛二(編):黄斑疾患テキスト&アトラス.200-205,医学書院,東京,2000
7)山口由美子:Vogt-小柳-原田病のOCTによる評価(特集 ぶどう膜炎の評価).眼科56:1155-1163,2014
8)河越龍方・水木信久:Vogt-小柳-原田病および交感性眼炎とHLA.あたらしい眼科33:529-533,2016

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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