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臨床報告
結膜弛緩症を伴った加齢下眼瞼内反症に対する経球結膜眼瞼通糸埋没法手術
著者: 小笠原幹英12 敷島敬悟1 中野匡1
所属機関: 1東京慈恵会医科大学眼科学講座 2宇都宮記念病院眼科
ページ範囲:P.633 - P.640
文献購入ページに移動症例:症例はいずれも男性で,年齢は66歳と71歳である。1例は両眼の異物感と流涙があり,両眼に下眼瞼の内反と結膜弛緩があった。他の1例は左眼の異物感があり,下眼瞼の内反による睫毛接触と結膜弛緩があった。両症例に対し,①球結膜側の結膜から通糸し,②結膜囊の底部に糸を通過させ,③瞼板の下端を糸が通過し,④深さ0.5〜1.0mmの皮膚切開部で結紮する経球結膜眼瞼通糸埋没法手術を行った。両症例とも,下眼瞼内反と結膜弛緩が軽快した。加齢による結膜弛緩症と下眼瞼内反症はいずれもcapsulopalpebral fascia(CPF)の弛緩の結果である。本手術が奏効したのは,①により弛緩した結膜を下方と前方に牽引し,②の手技によりCPFを前方に牽引し,③の手技により瞼板の下端に向かって前方と後方の組織を牽引し,④の手技で結紮部の露出を防止できたことがその理由であると解釈できる。本手術では大きな皮膚切開,組織の露出や切除が不要であり,手技が簡便で,球結膜が温存できる。
結論:結膜弛緩症を伴う加齢下眼瞼内反症の2例3眼に対し,経球結膜眼瞼通糸埋没法手術が奏効した。
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