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特集 第71回日本臨床眼科学会講演集[3] 原著
島根県隠岐の島における網膜色素変性症の外来占有率と家族歴
著者: 大松寛1 松浦一貴2 寺坂祐樹2 佐々木勇二3 井上幸次4
所属機関: 1隠岐病院眼科 2野島病院眼科 3山陰労災病院眼科 4鳥取大学医学部附属病院視覚病態学分野
ページ範囲:P.655 - P.658
文献購入ページに移動対象と方法:2016年1月1日〜12月31日の期間の隠岐病院眼科外来におけるRPの病名をもつ患者の割合をデータベースを用いて調べた。同意が得られた症例において,聴き取り調査を行った。同様の検討を山陰労災病院,野島病院,智頭病院で行った。
結果:RP外来患者/総外来患者は,隠岐病院では延べ数で143/12,315名(1.16%)であった。それに対して,山陰労災病院1/8,498名(0.01%),野島病院25/16,700名(0.15%),智頭病院1/2,698名(0.04%)であり,隠岐病院以外(内地)の合計では27/27,896名(0.10%)であった。隠岐病院でのRPの外来占有率は他の施設と比較して約11.6倍であった。隠岐病院におけるRP患者33名のうち,聴き取り調査を行った32名(97.0%)おいて,RPの家族歴を有する患者は19名(59.4%)であり,うち2親等以内に家族歴を有する患者は16名(50.0%)であった。近親結婚の家族歴を有する者はなかった。
結論:施設の特性が異なることから,本検討で求められた外来占有率が各地域での患者有病率を直接表すものではないものの,隠岐のような離島では歴史的に一親族が限られた地域にとどまることが多いため,RPにかかわる遺伝子比率が高いと考えられた。
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