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特集 第71回日本臨床眼科学会講演集[3] 原著
不完全型網膜中心動脈閉塞症発症6年後に網膜中心静脈閉塞症をきたした1例
著者: 石橋拓也1 萱澤朋泰1 岡本紀夫1 青松圭一1 松本長太1 下村嘉一1
所属機関: 1近畿大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.659 - P.663
文献購入ページに移動症例:74歳,男性。当科で左眼の不完全型網膜中心動脈閉塞症と診断され,治療後の経過は良好であった。そのときの光干渉断層像では,栓子が存在した上耳側では菲薄化があり,脈絡膜血管も拡張していた。不完全型網膜中心動脈閉塞症発症6年後に左眼の視力低下を訴え,当科を受診した。矯正視力は0.1と低下していた。眼底検査では,網膜静脈の拡張,蛇行を認め,上耳側と下耳側で網膜出血の程度の差を認めた。以上の所見から,網膜中心静脈閉塞症を発症したと診断した。1か月後の光干渉断層像では黄斑浮腫を認めた。
結論:典型的な陳旧期の網膜中心動脈閉塞症は,網膜全体が菲薄化するので網膜循環障害を合併した報告はない。本症例は不完全型網膜中心動脈閉塞症であったので,網膜の菲薄化が軽度であったため網膜循環障害を発症した可能性が高い。
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