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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科72巻5号

2018年05月発行

文献概要

特集 第71回日本臨床眼科学会講演集[3] 原著

急性骨髄性白血病加療中のStomatococcus mucilaginosusによる播種性網脈絡膜炎の1例

著者: 中村春香1 三原正大2 細貝真弓3 福地真理子4 岸章治4

所属機関: 1群馬県済生会前橋病院眼科 2渋川医療センター血液内科 3群馬大学医学部附属病院眼科 4前橋中央眼科

ページ範囲:P.693 - P.696

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要約 目的:Stomatococcus mucilaginosusRothia mucilaginosa)は口腔内や咽頭腔などの消化管の常在菌で,日和見感染の起因菌として知られている。同菌によると思われる播種性網脈絡膜炎の1例を報告する。

症例:75歳,男性。急性骨髄性白血病の寛解導入療法中に発熱し,血液培養からStomatococcus mucilaginosusが検出され,同菌による敗血症として加療されていた。好中球減少期の免疫不全下にあった。飛蚊症の訴えで眼科を初診。

所見:視力は右(0.8p),左(0.7)で,両眼底に播種性の黄白色の網膜下浸潤病巣と軽度の斑状網膜出血と硝子体混濁があった。光干渉断層計では網脈絡膜の波打ち所見を認めた。すでに抗菌薬と抗真菌薬の加療中であり,眼科初診後の血液培養と前房水からは菌は検出されなかった。抗菌薬の点滴加療で,解熱とともに眼底の病変は徐々に消退し,播種性の網膜萎縮瘢痕を残した。

結論:Stomatococcus mucilaginosusが免疫不全下に血行性に脈絡膜に至り,免疫回復時に播種性の網脈絡膜病巣を形成したと考えられた。

参考文献

1)冲中敬二:白血病の治療.発熱性好中球減少症.内科116:253-257,2015
2)中野聡子:病原微生物検索のための新しい網羅的PCRシステム.眼科手術30:100-104,2017
3)Nesher L, Rolston KV:The current spectrum of infection in cancer patients with chemotherapy-related neutropenia. Infection 42:5-13, 2014
による菌血症.臨床血液56:687-691,2015
)による同定キットの同定性能の検討.日本臨床微生物学雑誌20:50-55,2010
による菌血症.臨床血液58:210-215,2017
による内因性真菌性眼内炎.眼科54:435-440,2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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