文献詳細
特集 第71回日本臨床眼科学会講演集[3]
原著
内斜視を主訴に受診した小児蝶形骨洞原発バーキットリンパ腫の1例
著者: 岡部直子1 西智1 緒方奈保子1
所属機関: 1奈良県立医科大学眼科学教室
ページ範囲:P.713 - P.716
文献概要
症例:3歳,男児。両眼の急性内斜視と頭痛を主訴に近医小児科を受診し,眼科精査目的にて当科へ紹介された。眼科初診時,両眼の視力低下,非共同性内斜視,両外転障害,両眼の視神経乳頭浮腫を認めた。頭部MRIで,蝶形骨洞を中心として両上眼窩裂から海綿静脈洞に広がる腫瘍を認めた。病理組織学的に蝶形骨洞を原発とするバーキットリンパ腫(Stage Ⅳ)と診断され,化学療法開始となった。
結果:化学療法開始直後より頭蓋内腫瘍の縮小が認められ,両外転障害および両視神経の乳頭浮腫は改善した。化学療法5年経過後も腫瘍の再発はなく,安定した状況が続いている。
結論:蝶形骨洞原発小児バーキットリンパ腫の報告はない。外転神経へ浸潤し,急性内斜視で発症したことより,早期発見に至り早期治療で腫瘍の寛解が得られた。
参考文献
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