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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科72巻5号

2018年05月発行

文献概要

特集 第71回日本臨床眼科学会講演集[3] 原著

白内障手術を行った38名に対する累進屈折力眼鏡の処方割合や矯正の調査

著者: 有賀義之1 梶田雅義1

所属機関: 1梶田眼科

ページ範囲:P.723 - P.727

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要約 目的:白内障手術後(術後)患者の,矯正状態や眼鏡処方の状況を調査する。

対象と方法:対象は2015年6月〜2016年11月に両眼の白内障手術を行った38名(平均69.4±9.6歳)である。白内障手術前・術後の等価球面屈折値,眼鏡処方の割合,処方に至った日数をレトロスペクティブに調査した。

結果:38名の白内障手術前の等価球面屈折値は−1.31±4.35D(平均SE),術後平均SEは−1.13±1.54Dであり,有意差はなかった(t検定,p=0.3418)。38名中27名(平均70.7±10.0歳)は,術後に梶田眼科にて眼鏡処方を行っていた。27名中26名は,累進屈折力レンズを処方しており,加入+1.75Dが17名,加入+2.50Dが9名で,手術から眼鏡処方までの平均日数は45日間であった。処方後に加入度数の変更を行ったのは26名中3名で,3名とも加入+1.75Dから加入+2.50Dに変更になった。当院で眼鏡処方を行っていない残りの11名の術後の矯正手段は,手術をした病院で作製した眼鏡を使用,術前に作製した眼鏡を使用,などがあった。

結論:術後,1か月以内に眼鏡処方に至った症例が半数であった。術前に累進屈折力レンズを使用している場合は,術後の最初の眼鏡処方において,高い加入度数でも問題なく使用できる可能性がある。累進屈折力レンズに慣れてくることにより,使用できる加入度数が変化していった。眼鏡作製の際は,度数を再調整するなどの選択肢が選べる,レンズの保証期間がある眼鏡店で作製するのが望ましい。

参考文献

1)根岸一乃:偽水晶体眼の眼鏡処方.大鹿哲郎(編):専門医のための眼科診療クオリファイ1—屈折異常と眼鏡矯正.121-123,中山書店,東京,2010
2)大鹿哲郎:白内障手術.田野保雄・樋田哲夫(編):今日の眼疾患治療指針 第2版.790-792,医学書院,東京,2007
3)西 恭代・根岸一乃:偽水晶体眼の眼鏡処方.あたらしい眼科32(臨増):75-79,2015

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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