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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科72巻6号

2018年06月発行

文献概要

特集 第71回日本臨床眼科学会講演集[4] 原著

若年者にみられた乳頭出血の3例

著者: 清水瑞己12 大野新一郎13 石川慎一郎1 江内田寛1

所属機関: 1佐賀大学医学部眼科学講座 2JCHO九州病院眼科 3佐賀県医療センター好生館眼科

ページ範囲:P.835 - P.841

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要約 背景:若年者に乳頭出血が生じることがある。アジア人,女性,小乳頭,近視眼に多いとされ,その原因として,硝子体による乳頭部の牽引,脈絡膜と乳頭境界組織の破綻,乳頭の形態異常などが推定されているが,原因は不明である。

目的:乳頭出血が生じた3症例の報告。

症例:症例はいずれも女性で,それぞれ14歳,17歳,24歳である。乳頭出血は3例とも片眼に生じたが,うち1例では5か月後に他眼にも生じた。3症例とも−3〜−5Dの中等度近視であった。3症例とも,後部硝子体剝離はなく,片眼または両眼が小乳頭であった。1例には心奇形と無脾症があり,ワーファリンを服用中であったが,他の2例には出血の素因はなかった。乳頭出血は初診から1〜3か月後に自然消退した。

結論:若年の成人女性に乳頭出血が生じた。中等度の近視と小乳頭があった。いずれも出血は自然寛解した。

参考文献

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2)三木正毅・藤岡孝子:片眼性乳頭出血の2症例.臨床眼科76:1542-1544,1986
3)大久保潔・川上淳子:片眼性乳頭出血.後部硝子体剝離の関与.眼科28:1515-1519,1986
4)Katz B, Hoyt WF:Intrapapillary and peripapillary hemorrhage in young patients with incomplete posterior vitreous detachment. Signs of vitreopapillary traction. Ophthalmology 102:349-354, 1995
5)Yamazaki Y, Hayamizu F, Miyamoto S et al:Optic disc findings in normal tension glaucoma. Jpn J Ophthalmol 41:260-267, 1997
6)Preechawat P, Bruce BB, Newman NJ et al:Anterior ischemic optic neuropathy in patients younger than 50 years. Am J Ophthalmol 144:953-960, 2007
7)阿部英樹・木村亜紀子・大北陽一・他:小乳頭が危険因子と考えられた若年者の乳頭出血の一例.神経眼科30:289-293,2013
8)西 智・湯川英一・松浦豊明・他:両眼に発症したIntrapapillary hemorrhage with adjacent peripapillary subretinal hemorrhageの1例.あたらしい眼科26:845-847,2009
9)日本緑内障学会緑内障診療ガイドライン作成委員会:緑内障診療ガイドライン.日眼会誌107:126-157,2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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