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特集 第71回日本臨床眼科学会講演集[4] 原著
膠原病患者に発症したサイトメガロウイルス網膜炎の2例
著者: 一色仁美1 豊口光子1 青山幸弘1 三上侑利子1 竹下恵理1 狩野麻理子1 船津英陽1
所属機関: 1東京女子医科大学付属八千代医療センター眼科
ページ範囲:P.843 - P.849
文献購入ページに移動症例:症例1は72歳,女性。MPO-ANCA関連血管炎による急性進行性糸球体腎炎でステロイドパルス療法後にステロイド内服中であった。右眼の視力低下を主訴に当科を受診し,虹彩炎,網膜出血,硝子体混濁を認めた。ステロイド点眼およびトリアムシノロンアセトニドのテノン囊下注射を施行したが,3か月後に眼底出血が増悪し,白色顆粒状病変が出現した。前房水PCR検査でCMV-DNAを認めCMVRと診断し,ガンシクロビルの全身投与と硝子体内注射で改善を認めた。消炎後,広範囲の網膜血管閉塞領域を認めたため網膜汎光凝固を施行した。症例2は73歳,女性。関節リウマチで免疫抑制薬とステロイド内服中であった。左眼の飛蚊症を主訴に前医を受診し,左眼ぶどう膜炎の診断で当科へ紹介され受診した。虹彩炎,網膜血管白線化,網膜白色顆粒状病変を認め,前房水PCR検査でCMV-DNAを検出しCMVRと診断した。ガンシクロビルの全身投与と硝子体内注射を施行し改善傾向であったが,新生血管からの硝子体出血を生じ硝子体手術を施行した。術後,周辺部の網膜血管閉塞領域に対し光凝固を施行した。
結論:網膜白色顆粒状病変と網膜血管閉塞を伴い,慢性的な臨床経過を認めたCMVRを経験した。臨床経過から非HIV患者に発症した慢性網膜壊死と考えられた。慢性網膜壊死では,薬物療法のみではなく新生血管予防のため光凝固が必要な症例もあり,早期診断,治療が必要である。
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