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特集 第71回日本臨床眼科学会講演集[4] 原著
血管攣縮網膜症から発見された褐色細胞腫の1例
著者: 杉本八寿子1 山田晴彦1 髙橋寛二1
所属機関: 1関西医科大学眼科学教室
ページ範囲:P.851 - P.858
文献購入ページに移動症例:49歳,女性。左眼に強い両眼の視力低下を自覚し近医を受診した。眼底の異常を指摘され精査加療目的に関西医科大学附属病院を紹介受診となった。初診時所見は,矯正視力が右眼0.9,左眼0.5であった。受診時血圧が212/138mmHgと著明な高血圧を認めたが,内科受診歴はなかった。両眼の眼底には,乳頭浮腫の強い網膜浮腫,軟性・硬性白斑が散在し,点状・線状出血,静脈の拡張蛇行と動脈の狭細化を認めた。網膜深層に急性Elschnig斑を認めたために,血管攣縮型高血圧網膜症と診断した。内科へ紹介したところ,褐色細胞腫と診断された。降圧治療開始後,眼底所見は改善を認め,眼科的治療なしに視力障害を残さず眼底の異常所見は消失した。
結論:血管攣縮型高血圧網膜症は二次性高血圧から生じることが多く,早期に降圧治療を行えば視力障害なく改善する。血管攣縮網膜症を認めた場合,本例のように褐色細胞腫の存在を考慮する必要がある。
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