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特集 第71回日本臨床眼科学会講演集[4] 原著
横浜市立大学附属病院における5年間の眼腫瘍の手術治療
著者: 加藤愛1 金子明博1 西出忠之1 井田泰嗣1 加藤明世1 野村知世1 近藤由希帆1 近藤紋加1 水木信久1
所属機関: 1横浜市立大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.859 - P.865
文献購入ページに移動対象と方法:2012年4月〜2017年3月の5年間に当院にて眼腫瘍と病理組織診断した143例150眼に対し,腫瘍発生部位,腫瘍別の件数,治療予後についてレトロスペクティブに検討した。
結果:平均年齢は61.1±19.9歳で,全腫瘍のうち良性腫瘍は102眼(68%),悪性腫瘍は48眼(32%)であった。発生部位は結膜57眼,眼瞼56眼,眼窩内32眼,眼内5眼の順に多かった。病理組織別頻度では良性腫瘍では母斑が最も多く,次いで乳頭腫,脂漏性角化症の順に多かった。悪性腫瘍では悪性リンパ腫が最も多く,次いで脂腺癌,扁平上皮癌の順に多かった。悪性腫瘍切除後に放射線療法を併用した症例は12眼(8.0%),化学療法を併用した症例は2眼(1.3%)であった。悪性腫瘍切除後に再発したのは9眼(6.0%)であり,脂腺癌が4眼(2.6%)と多かった。転移したのは3眼(2.0%)であり,そのうち脂腺癌1眼(0.7%)であった。
結論:脂腺癌は切除治療後の再発転移に十分注意して経過観察し,切除後の定期的な全身検索も必要である。
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