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特集 第71回日本臨床眼科学会講演集[4] 原著
3種類のHaigis式IOL定数における白内障術後屈折誤差の検討
著者: 都村豊弘1 野本浩之2 山地英孝3
所属機関: 1高松市民病院附属香川診療所眼科 2野本眼科 3白井病院
ページ範囲:P.889 - P.897
文献購入ページに移動対象と方法:対象は2015年7月〜2017年6月に当診療所にて白内障手術を施行した127例217眼。IOLはNS-60YG(SZ-1:NIDEK社),角膜曲率半径と前房深度はTMS-5(TOMEY社),眼軸長測定はOA-1000(TOMEY社)のContactモードで測定。IOL定数は過去4年間に当診療所で施行した300眼をDr. Hillのウェブサイト(H群),TOMEY社(T群),NIDEK社(N群)に依頼し算出したものを使用。それらIOL定数を用いて同じIOL度数における予測屈折値をHaigis式で算出。術後1か月に他覚屈折値を基に自覚屈折値を算出しそれぞれの予測屈折値と比較した。
結果:算出されたIOL定数(a0,a1,a2)はH群:0.670,0.008,0.177,T群:0.582,0.010,0.180,N群:0.499,0.150,0.165であった。術後1か月における屈折値誤差平均値(絶対値平均値)はH群−0.04±0.43(0.33±0.28)D,T群0.09±0.43(0.34±0.29)D,N群0.28±0.43(0.40±0.31)D。眼軸長別誤差平均値(H群,T群,N群)は,22mm未満:0.07,0.21,0.52D,22〜24.5mm未満−0.08,0.06,0.23D,24.5mm以上:0.16,0.25,0.37Dであった。両平均値ともに各群間で有意差があった(平均値p<0.001,絶対値平均値p=0.012,ANOVA)。また,±0.5(±1.0)D以内に入った割合は,H群79.7(96.3)%,T群79.3(96.8)%,N群71.4(94.5)%であった。各群間で有意差はなかった(±0.5D以内p=0.071,±1.0D以内p=0.444,χ2検定)。
結論:Haigis式におけるIOL定数の最適化を行う際には複数の解析施設に依頼し算出された結果を比較したうえで度数計算する必要があることが示された。
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