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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科72巻6号

2018年06月発行

文献概要

特集 第71回日本臨床眼科学会講演集[4] 原著

45歳以上の近視矯正に施行した有水晶体眼内レンズ(ICL)挿入術

著者: 田川考作1 浅井宏志2

所属機関: 1小矢部たがわ眼科 2あさい眼科クリニック

ページ範囲:P.899 - P.904

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要約 目的:厚生労働省の承認を受けた近視矯正目的の後房型有水晶体眼内レンズ(ICL)の適応は21〜45歳である。45歳以上は併発白内障や近見障害を懸念して慎重適応とされているが,当院で施行した結果を報告する。

対象と方法:ICL挿入術を施行した近視または近視性乱視症例86例153眼のうち,45歳以上の10例17眼を検討した。平均年齢52.1歳,術前等価球面度数の平均は−10.29D,遠方裸眼視力の平均は0.03であった。17眼のうちnon-hole ICLは1眼,hole ICLは16眼であった。

結果:遠方裸眼視力の平均は術後1か月0.88,3か月1.08,6か月1.33,1年1.07であった。中間(50cm)裸眼視力の平均は0.83,近方(30cm)は0.44であった。等価球面度数の平均は術後1か月−0.71D,6か月−0.13D,1年−0.31Dであった。コントラスト感度は正常範囲内であった。白内障の悪化や再手術を要する眼圧上昇はなかった。アンケートによる満足度(5点満点)は遠方3.9点,中間4.1点,近方2.9点で近方が低く,眼鏡を使わないは62%であった。

結論:45歳以上への近視矯正ICL挿入術は,良好な遠方裸眼視力が得られ,安全で有効な術式と思われたが,さらに長期の経過観察が必要である。また近方視の満足度がやや低かった。

参考文献

1)Shimizu K, Kamiya K, Igarashi A et al:Early clinical outcomes of implantation of posterior chamber phakic intraocular lens with a central hole(Hole ICL)for moderate to high myopia. Br J Ophthalmol 96:409-412, 2012
2)Lisa C, Naveiras M, Alfonso-Bartolozzi B et al:Posterior chamber collagen copolymer phakic intraocular lens with a central hole to correct myopia:One-year follow up. J Cataract Refract Surg 41:1153-1159, 2015
3)Shimizu K, Kamiya K, Igarashi A et al:Long-term comparison of posterior chamber phakic intraocular lens with and without a central hole(hole ICL and conventional ICL)implantation for moderate to high myopia and myopic astigmatism. Medicine 95:e3270, 2016
4)神谷和孝・清水公也・川守田拓志・他:眼鏡,laser in situ keratomileusis,有水晶体眼内レンズが空間周波数特性および網膜像倍率に及ぼす影響.日眼会誌112:519-524,2008
5)Kamiya K, Takahashi M, Takahashi N et al:Monovision by implantation of posterior chamber phakic intraocular lens with a central hole(Hole ICL)for early presbyopia. Sci Rep 7:11302, 2017
6)半田知也:モノビジョンの適応検査.IOL & RS 21:22-26,2007
7)北澤世志博:ハイリスク眼への屈折矯正手術.50歳代(老視,緑内障などを含む).IOL & RS 30:40-48,2016

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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