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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科72巻7号

2018年07月発行

文献概要

特集 第71回日本臨床眼科学会講演集[5]

就学時健診を契機に発見された無症候性網膜芽細胞腫の1例

著者: 西村智治1 鈴木利根1 町田繁樹1

所属機関: 1獨協医科大学埼玉医療センター眼科

ページ範囲:P.951 - P.956

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要約 目的:就学時健診をきっかけに発見された無症状の6歳男児の網膜芽細胞腫の報告。

症例:6歳男児が,就学時健診で左眼の視力低下を指摘され受診した。視力は右1.2(矯正不能),左0.7(1.0×−0.5D)。白色瞳孔および斜視などの自覚症状はなかった。左眼の視神経乳頭上方に10乳頭径大のカリフラワー状の白色隆起性病変が認められた。超音波検査およびCTで腫瘍内石灰化が確認された。網膜芽細胞腫と診断し,左眼眼球摘出術を施行した。病理所見では,前房内,脈絡膜ならびに視神経断端に浸潤はなかった。全身性転移病変も認めなかった。化学療法および放射線療法は併用しなかったが,術後13か月の現在まで再発ならびに転移の所見はない。

結論:就学時健診の視力測定を契機に無症候性の網膜芽細胞腫を診断し,治療することができた。腫瘍の局所再発あるいは全身転移はなく経過している。

参考文献

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2)古屋敏江・飯島裕幸:山梨大学附属病院24年間の網膜芽細胞腫統計.眼科52:807-812,2010
3)野崎真世・加瀬 諭・吉田和彦・他:網膜芽細胞腫の診断と臨床経過の検討.臨眼65:1123-1127,2011
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6)Shields CL, Shields JA, De Potter P:New treatment modalities for retinoblastoma. Curr Opin Ophthalmol 7:20-26, 1996
7)小島孚允:新生児の眼疾患—未熟児網膜症,眼の先天異常,網膜芽細胞腫.周産期医学45:211-213,2015
8)鈴木茂伸:これだけは知っておきたい網膜芽細胞腫治療の最新知識.臨眼69:960-964,2015
9)鈴木茂伸:小児がん治療と機能温存,その意義は.網膜芽細胞腫の眼球温存治療,視機能温存を目指して.日本小児血液・がん学会雑誌52:273-274,2015
10)Survival rate and risk factors for patients with retinoblastoma in Japan. The Committee for the National Registry of Retinoblastoma. Jpn J Ophthalmol 36:121-131, 1992
11)石井雅子・落合 竣・松浦将人・他:眼科健診から専門医を受診した小児の検討.眼臨紀7:131-135,2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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