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特集 第71回日本臨床眼科学会講演集[5]
就学時健診を契機に発見された無症候性網膜芽細胞腫の1例
著者: 西村智治1 鈴木利根1 町田繁樹1
所属機関: 1獨協医科大学埼玉医療センター眼科
ページ範囲:P.951 - P.956
文献購入ページに移動症例:6歳男児が,就学時健診で左眼の視力低下を指摘され受診した。視力は右1.2(矯正不能),左0.7(1.0×−0.5D)。白色瞳孔および斜視などの自覚症状はなかった。左眼の視神経乳頭上方に10乳頭径大のカリフラワー状の白色隆起性病変が認められた。超音波検査およびCTで腫瘍内石灰化が確認された。網膜芽細胞腫と診断し,左眼眼球摘出術を施行した。病理所見では,前房内,脈絡膜ならびに視神経断端に浸潤はなかった。全身性転移病変も認めなかった。化学療法および放射線療法は併用しなかったが,術後13か月の現在まで再発ならびに転移の所見はない。
結論:就学時健診の視力測定を契機に無症候性の網膜芽細胞腫を診断し,治療することができた。腫瘍の局所再発あるいは全身転移はなく経過している。
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