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特集 第71回日本臨床眼科学会講演集[5]
虹彩囊胞切除後に発症し治療に難渋した続発緑内障の1例
著者: 森悠大1 上野勇太1 平岡孝浩1 濱中輝彦2 大鹿哲郎1
所属機関: 1筑波大学医学医療系眼科 2日本赤十字社医療センター眼科
ページ範囲:P.965 - P.970
文献購入ページに移動症例:55歳,女性。6歳時に左眼穿孔性外傷の既往があり,瞳孔偏位を残すものの矯正視力は良好であった。2年前に左眼の視力低下と視野欠損を自覚し,近医で左虹彩腫瘤を指摘され,筑波大学附属病院眼科を紹介された。左矯正視力は0.5で前房内に角膜と接する巨大な腫瘤があり,瞳孔を広範囲に占拠していた。切除術を施行され,病理診断は虹彩囊胞であった。術後は一時的に視機能は改善したが,前房内の炎症が遷延し,4か月後に瞳孔ブロックを生じて眼圧が上昇した。レーザー虹彩切開術や水晶体再建術が施行されたが奏効しなかった。2か月後に左線維柱帯切除術が施行され,一時的に眼圧下降が得られるも,その1か月後に再上昇した。さらに2か月後に左線維柱帯切除術併用バルベルト®緑内障インプラント挿入術が施行された。悪性緑内障をきたしたためにNd-YAGレーザーによる後囊および前部硝子体膜の切開術が行われ,その後は左眼圧10mmHg前後にコントロールされている。
結論:虹彩囊胞は切除により本症例のように治療に抵抗性の難治性緑内障を生じる場合があり,切除後の経過観察には注意を要する。
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