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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科72巻8号

2018年08月発行

文献概要

臨床報告

診断に苦慮した浸潤性視神経症の1例

著者: 山内宏大1 工藤孝志1 中澤満1

所属機関: 1弘前大学眼科学講座

ページ範囲:P.1073 - P.1080

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要約 目的:診断に苦慮した浸潤性視神経症症例の報告。

症例:40代,女性。1週間前から右視力低下あり。右眼は光覚弁となっていたが,検眼上は異常なし。画像上右蝶形骨洞炎の指摘あり。生検にて右蝶形骨洞癌と診断され,放射線治療を施行後は再発なく経過したが,治療1年後に左眼も徐々に視力低下した。検眼上は変化なく,全身CT,各種採血を施行したが原因を特定できなかった。原因不明の左視神経症としてステロイドパルス療法を施行したが,左眼も失明に至った。パルス終了4か月後に左動眼神経麻痺が出現。この時点でのPET-CTにて左視神経に至る腫瘍の再発を認めた。

結論:画像上,視神経の腫瘍性浸潤の同定が困難な場合があり診断に難渋することがある。このような例に対しては髄液検査も含めた検索も考慮する必要があると思われた。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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