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特集 第71回日本臨床眼科学会講演集[7] 原著
ハイドロレス前囊下水晶体分離法
著者: 阿部徹1 阿部亜子1
所属機関: 1阿部眼科
ページ範囲:P.1229 - P.1234
文献購入ページに移動対象と方法:対象は2016年2月から,筆者らがレス分離法を用いてPEAを施行した連続400眼(PEA単独318眼,硝子体同時手術82眼)である。前囊切開後,20Gの稲村式マルチパーパスカニューラ先端をPEA用の強角膜創から,前囊下かつ水晶体赤道部付近まで囊に接しない程度に進めた。灌流液は注入せず,カニューラ先端を横に滑らせ,可動範囲(2時から10時までの下方約2/3周)のレス分離を行った。レス分離後,カニューラ先端で水晶体核回転を試みた。レス分離直後の水晶体核回転不能眼では,核分割後に再び核回転を試みた。
結果:400眼中,レス分離直後に321眼(80.3%)の水晶体核が回転した。水晶体核分割後に再び回転を試みた74眼(18.5%)の核がさらに回転した。5眼(1.3%)は,核分割後の再試行でも回転せず,粘弾性物質によるビスコダイセクションで水晶体核を回転させた。レス分離による毛様小帯脆弱化はなかった。今回のレス分離時期の重篤なIMSの発症は0%(0/400)である。
結論:レス分離を施行した400眼中395眼(98.8%)で水晶体核の回転が可能であった。レス分離により,IMSの予防効果が期待できる。
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