文献詳細
特集 第71回日本臨床眼科学会講演集[7]
原著
虚血性心疾患によって発症した若年発症の両眼非動脈炎型虚血性視神経症の1例
著者: 小林奈美江12 小野田貴嗣12 小林健太郎2 永沼和香子3 藤原一男45
所属機関: 1総合南東北病院眼科 2南東北眼科クリニック 3総合南東北病院循環器内科 4総合南東北病院多発性硬化症・視神経脊髄炎センター 5福島県立医科大学多発性硬化症治療学講座
ページ範囲:P.1241 - P.1247
文献概要
症例:39歳,男性。3か月前からの亜急性の両眼視力低下で受診した。
所見と経過:矯正視力は右0.7,左0.7,限界フリッカ値は左右10Hzで両眼にマリオット盲点の拡大を認めた。MRIで両眼視神経に高信号を認め,視神経炎を考え,ステロイドパルス療法を2クール施行するも改善を得られなかった。原因不明の視神経炎として経過観察していたが,その後徐々に視力は低下し,4か月後に矯正視力は右0.2,左0.05となった。その後の精査で,冠動脈2枝の虚血性心疾患を認め,経皮的冠動脈形成術を2回施行した。5か月後には,中心暗点は残存するが,左右矯正視力1.0と自覚症状が軽快し,両眼NAIONと判断した。
結論:ステロイドパルス療法に反応しない若年発症の両眼NAIONの精査によって,虚血性心疾患が発見され,経皮的冠動脈形成術を施行したところ,心機能の改善とともに視機能も軽快した。非典型的な若年発症の視神経疾患の場合,NAIONも念頭に置いた精査が必要であると思われた。
参考文献
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