文献詳細
特集 第71回日本臨床眼科学会講演集[7]
原著
強膜バックリング手術後の続発性網膜上膜の臨床的検討
著者: 川添賢志1 井上順治2 田中裕樹2 井上賢治3
所属機関: 1大宮・井上眼科クリニック 2西葛西・井上眼科病院 3井上眼科病院
ページ範囲:P.1309 - P.1312
文献概要
対象と方法:網膜剝離に対する強膜バックリング手術が2016年までの42か月間に行われ,3か月以上の経過を追えた137例141眼を対象とした。男性81例83眼,女性56例58眼で,平均年齢は40.0±16.9歳であった。
結果:術後の続発性ERMは9眼(6.4%)に発症し,男性5眼(6.0%),女性4眼(6.9%)であった。執刀医8人中3人が行った症例に続発性ERMが発症し,A医師では49眼中6眼(12.2%),B医師では30眼中2眼(6.7%),C医師では18眼中1眼(5.6%)であった。裂孔の位置は耳側5眼,上側2眼,下側2眼で,2眼には裂孔が複数個あった。黄斑剝離は2眼にあった。網膜下液の排液と冷凍凝固は全例に行った。続発性ERMの発症後,2段階以上の視力低下が2眼(22.2%)に生じた。
結論:網膜剝離に対する強膜バックリング後に生じるERMの発症要因または視力が増悪する要因は同定できなかった。
参考文献
掲載誌情報