プロスタグランジン関連薬使用中の緑内障患者における上眼瞼溝深化の形状測定
著者:
太田真実
,
鈴木克佳
,
寺西慎一郎
,
白石理江
,
岩本菜奈子
,
能美なな実
,
徳久佳代子
,
守田裕希子
,
木村和博
ページ範囲:P.87 - P.93
要約 目的:プロスタグランジン(PG)F2α関連薬の副作用である上眼瞼溝深化(DUES)の特徴の報告。
対象と方法:70歳未満で3か月以上のPG使用歴があり,眼瞼写真撮影を行った緑内障患者25例47眼を対象とした。開瞼時および閉瞼時の正面像を用いて3名の判定者のうち,DUESと判定した人数をDUESスコア(0〜3)とし,閉瞼時の側面像を用いて判定者とは別の3名の測定者が上眼瞼前面の陥入角度(DUES角度)を測定し,各DUESスコア群や使用中PGでのDUES角度の比較検定を行った。PGの片眼使用の3症例では,未使用眼との比較を行った。
結果:各DUESスコアの平均DUES角度は,スコア0で161.2±13.1°,スコア1で146.4±18.7°,スコア2で139.6±23.5°,スコア3で117.3±14.6°であり,スコア0とスコア2ではスコア2が,スコア2とスコア3においてはスコア3のほうが有意にDUES角度が小さかった。スコア1以上の36眼での使用中PG別の平均DUES角度は,ラタノプロスト群(16眼)で153.6±15.1°,ビマトプロスト群(12眼)で120.2±13.4°,その他のPG群(8眼)で135.9±25.8°であり,ビマトプロスト群はラタノプロスト群と比較し,有意にDUES角度が小さかった。PGの片眼使用症例では,使用眼のDUES角度は123.9±2.9°(DUESスコア3),126.9±2.7°(DUESスコア3),150.4±3.4°(DUESスコア2)であり,未使用眼のDUES角度は155.2±1.9°,158.5±3.8°,172.3±2.4°とDUES使用眼でいずれも有意に小さかった。
結論:DUES角度を測定することは,DUESにおける上眼瞼形状の特徴を捉え,DUES判定の一助になりうる。