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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科73巻1号

2019年01月発行

文献概要

特集 今が旬! アレルギー性結膜炎

スギ花粉結膜炎に対する治療方針

著者: 深川和己12

所属機関: 1両国眼科クリニック 2慶應義塾大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.42 - P.46

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はじめに

 スギ花粉結膜炎はスギ花粉に対するアレルギー性結膜炎であり,非増殖型の季節性アレルギー性結膜炎(seasonal allergic conjunctivitis:SAC)に分類される1)。日本眼科アレルギー学会の調査では有病率が37%と報告される2)など,患者数の増加が社会問題となっている。その治療の基本は抗原回避である。イネ科やヨモギ(キク科)などの雑草花粉は数十mしか飛散しないのに対して,スギやヒノキなど樹木系花粉は風に巻き上げられて数十km以上飛散して都市部に降り注ぐ。このような飛散形態の特徴を考慮した抗原回避方法が推奨される。そのうえでメディカルケアを行う。痒み,充血,浮腫などの急性炎症が治療のターゲットである。

 治療薬として,メディエーター遊離抑制点眼薬と抗ヒスタミン点眼薬があるが,「痒み」に対して「早く」効いてほしいという患者ニーズが高く3),抗ヒスタミン点眼薬が使用されることが多くなってきている。特に都市部で上から降り注ぐように飛散するスギ花粉に対しては,初期治療が有効である4)。インバースアゴニスト効果のある抗ヒスタミン点眼薬は,組織中のヒスタミン受容体を減少させることから,より効果的であると考えられる5)。また,免疫療法も継続的な医療機関での注射が必要なものや,患者が自宅でできる舌下免疫療法(sublingual immunotherapy:SLIT)が開発された6)。一方,眼科領域ではまだ実用化されていないため,今後の検討が期待される。

参考文献

1)高村悦子・内尾英一・海老原伸行;アレルギー性結膜疾患診療ガイドライン編集委員会:アレルギー性結膜疾患診療ガイドライン(第2版).日眼会誌114:829-870,2010
2)深川和己・宮﨑 大・福島敦樹・他:日本の眼科医および家族におけるアレルギー性結膜疾患の有病率調査.アレルギー67:670,2018
3)深川和己:アレルギー性結膜疾患患者に対する治療実態および治療ニーズ調査—人口構成比に基づくインターネット全国調査.アレルギー・免疫15:1554-1564,2008
4)深川和己:スギ花粉アレルギー性結膜炎に対するセルフケアと初期療法.日本の眼科88:291-295,2017
5)Mizuguchi H, Ono S, Hattori M et al:Usefulness of HeLa cells to evaluate inverse agonistic activity of antihistamines. Int Immunopharmacol 15:539-543, 2013
6)増山敬祐・藤枝重治・太田伸男・他;アレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法の指針作成委員会,日本耳鼻科学会:アレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法の指針.日本耳鼻科学会会誌53:579-600,2014
7)Canonica GW, Compalati E:Minimal persistent inflammation in allergic rhinitis:implications for current treatment strategies. Clin Exp Immunol 158:260-271, 2009
8)Márquez F, Sastre J, Hernández G et al:Nasal hyperreactivity to methacholine measured by acoustic rhinometry in asymptomatic allergic and perennial non-allergic rhinitis. Am J Rhinol 14:251-256, 2000
9)深川和己・藤島 浩・高村悦子・他:季節性アレルギー性結膜炎に対するエピナスチン塩酸塩点眼薬による初期治療の効果.アレルギー・免疫22:1270-1280,2015

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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