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著者: 井上幸次
所属機関:
ページ範囲:P.124 - P.124
文献購入ページに移動こと結膜炎に限らず,アレルギー疾患はすべてにわたって年々増えているが,なぜこんなに増えたかということについて,「好酸球手持ち無沙汰説(と私が勝手に名づけているのだが)」というのがある。昔は皆,寄生虫をもっていて,それに対応していたのが好酸球だったのだが,世の中が清潔になって,寄生虫がいなくなったので,仕事のなくなった好酸球がアレルギーに手を出すようになったという説である。この説の真偽は別にして,清潔になったこととアレルギー疾患の増加はやはり関係があると思われる。ただ油断ならないのは感染症で,そういう時代であっても,ゲリラ的に我々のスキをついてカムバックしてくる。重症アレルギーを治療するための切り札として登場したタクロリムスを使っていると,副作用として感染症を生じてしまうのもその1例である。アレルギー性結膜炎に関する特集が組まれた本号に「タクロリムス点眼使用開始後に角膜ヘルペスを生じた5例」の臨床報告が掲載されているのもまた,アレルギー疾患の隆盛を物語っているといえるのかもしれない。
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