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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科73巻10号

2019年10月発行

文献概要

特集 第72回日本臨床眼科学会講演集[8] 原著

帝京大学医学部附属病院における開放性眼外傷の検討

著者: 北川達士1 寺内岳1 越智正登1 浜野茂樹1 矢倉和磨1 渡邊恵美子1 溝田淳1

所属機関: 1帝京大学医学部附属病院眼科学講座

ページ範囲:P.1267 - P.1274

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要約 目的:帝京大学医学部附属病院で加療した開放性眼外傷の報告。

症例と方法:2009年4月からの8年間に当院で初期治療を行った62例62眼につき,最終視力に影響する因子を解析した。視力はlogMARとして評価した。

結果:男性28例,女性34例であり,62例の平均年齢は66.1±16.4歳であった。眼球破裂が52例,眼球穿孔が8例で,眼内異物と二重穿孔の症例はなかった。術前の平均視力は2.43±0.64,術後の平均視力は1.59±1.24で,有意に改善していた。因子解析では,網膜剝離,水晶体偏位・脱臼,硝子体出血,前房出血の有無,受傷機転と視力予後との相関があった。破裂部位と視力予後の間には相関がなかった。

結論:開放性眼外傷では,破裂の位置や大きさではなく,眼組織への損傷の程度が,最終視力に対する有意な因子であった。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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