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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科73巻10号

2019年10月発行

文献概要

特集 第72回日本臨床眼科学会講演集[8] 原著

旧基準では視覚障害の身体障害者手帳の申請が却下となった2例のFunctional Vision Score評価

著者: 鶴岡三惠子1 井上賢治1

所属機関: 1井上眼科病院

ページ範囲:P.1281 - P.1289

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要約 目的:視覚の身体障害者手帳を2018年7月以前に申請し却下となった2例について,2018年7月以降の新基準での身体障害者手帳の等級のFunctional Vision Score(FVS)の評価を行い比較したので報告する。

症例:症例1は,50代の男性。緑内障で井上眼科病院を受診中である。矯正視力は右0.3,左0.4であった。眼圧は右9mmHg,左11mmHgであった。ゴールドマン視野(GP)は,湖崎分類で右Ⅲb,左Ⅲaであった。症例2は50代の男性。緑内障で井上眼科病院を受診中である。矯正視力は右1.2,左1.0であった。眼圧は右12mmHg,左11mmHgであった。GPは湖崎分類で右Ⅳ,左Ⅱbであった。

結果:症例1は新基準での等級が視野5級,FVSの評価はFunctonal Acuity Score(FAS) 79,Functional Field Score(FFS) 79,FVS 62であった。AMA Classはclass 2の中等度視覚喪失であった。症例2は新基準が視野5級,FVSの評価はFAS 100,FFS 75,FVS 75であった。AMA Classはclass 1の軽度視覚喪失であった。

結論:旧基準で手帳が却下決定となった2例は,新基準では2例とも視野障害5級に該当であった。FVSでは症例1のみがWHOのlow visionの範囲に該当した。

参考文献

1)加藤 聡:身体障害者福祉法の施行規定の改正について/視覚障害者認定基準の手引き:日眼会誌122:488-489,2018
2)加茂純子:身体障害認定における視覚障害評価 第1回.日本の眼科82:165-167,2011
3)加茂純子:身体障害認定における視覚障害評価 第2回.日本の眼科82:463-467,2011
4)加茂純子:身体障害認定における視覚障害評価 第3回.日本の眼科82:755-758,2011
5)加茂純子:身体障害認定における視覚障害評価 第4回.日本の眼科82:1069-1072,2011
6)加茂純子:身体障害認定における視覚障害評価 第5回.日本の眼科82:1339-1341,2011
7)加茂純子:身体障害認定における視覚障害評価 第6回.日本の眼科82:1617-1619,2011
8)http://mayeyeclinic.sharepoint.com/Pages/VFScountingandoverlay.aspx
9)柳原美依子・国松志保・加藤 聡・他:視覚障害者における視覚障害等級と生活の質(QOL)評価.臨眼62:259-263,2008
10)瀬戸寛子・大島裕司・松田由里・他:我が国の視覚障害等級と米国推奨基準Visual Field Scoreとの比較.日本視能訓練士協会誌41:163-169,2012
11)村上美紀:就労年齢におけるFVSとロービジョンケア.眼臨紀7:934-940,2014
12)鶴岡三惠子・加茂純子・井上賢治:視覚の身体障害者認定基準では評価が難しい症例についてのFunctional Vision Scoreでの評価.眼臨紀8:885-890,2015
13)加茂純子・原田 亮・宇田川さち子・他:American Medical AssociationのVisual Field ScoreのHumphrey Field Scoreによる静的視野とGoldmann視野の結果の試行.臨眼65:1243-1249,2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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