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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科73巻10号

2019年10月発行

文献概要

特集 第72回日本臨床眼科学会講演集[8] 原著

血液透析中に両眼の眼圧上昇をきたした眼内レンズ縫着後眼の1症例

著者: 二宮以信1 渡邉慧1 深瀬沙綾1 岡本昌大1 岡本祥正3 牧田侑子2 高原久嗣2 林野久樹2 海老原伸行1

所属機関: 1順天堂大学医学部附属浦安病院眼科 2順天堂大学医学部附属浦安病院腎臓内科 3高砂眼科

ページ範囲:P.1297 - P.1302

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要約 目的:両眼の眼内レンズ(IOL)縫着術後に,透析中に高眼圧をきたした1症例を報告する。

症例:50歳,男性。生来片腎で34歳時より人工透析を行っている。40歳台前半に両白内障手術,47歳時に右IOL縫着術,48歳時に左IOL縫着術を施行。その頃より徐々に眼圧が高値となり点眼加療していた。6か月前から透析中に左眼の疼痛と霧視を自覚していた。透析終了直後の近医受診時に両眼圧上昇を認め当院紹介となった。

所見:初診時眼圧は右14mmHg,左24mmHg。左IOLは偏心し,虹彩裏面と接触を認めた。両隅角は開放,線維柱帯に色素沈着を認めた。視神経光干渉断層計で両眼に緑内障性視神経変化はなかった。初回透析開始前の眼圧は右12mmHg,左18mmHgであったが,透析後右24mmHg,左50mmHgに上昇した。透析-透析間の体重増加抑制のため飲水制限を行い,透析中グリセオール投与で眼圧上昇が緩和され,透析終了3時間後には眼圧が正常化した。その後再度の眼圧上昇があり,線維柱帯切開術と周辺虹彩切除を施行したが,再び眼圧上昇したため線維柱帯切除術を施行したところ,最終的に眼圧が安定した。

結論:房水流出障害をもつ透析患者では,透析時の眼圧上昇に注意を要する。透析時の眼圧上昇では血漿浸透圧の低下を抑制することが効果的であるが,観血的治療を要する場合がある。

参考文献

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2)岡田克樹・柴田哲夫・三嶋 弘:人工血液透析ごとに眼圧上昇を繰り返す血管新生緑内障の2例.眼臨83:749-752,1989
3)福本幸司・林 正和・塩田 洋:血液透析後のみに眼圧上昇をきたした原発開放隅角緑内障の1例.眼臨83:749-752,1989
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9)澤田 明・佐久間毅・山本哲也・他:レーザー虹彩切開術を施行した色素緑内障の1例.臨眼50:1933-1937,1996
10)木村元貴・津田メイ・松山加耶子・他:眼内レンズ縫着術後の逆瞳孔ブロックにレーザー虹彩切開術を施行した3例.臨眼64:1341-1346,2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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