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臨床報告
眼内レンズ再縫着後瞳孔捕獲に対するTram-track Suture法による整復
著者: 鄭暁東12 五藤智子2
所属機関: 1愛媛大学医学部眼科学教室 2はなみずき眼科
ページ範囲:P.201 - P.207
文献購入ページに移動症例:67歳,男性。左眼IOL亜脱臼のため前医でIOL抜去+IOL縫着術を施行し,術後IOLの偏位を認め,再度IOL縫着(CZ70BD,Alcon社)を行った。術後3か月より左眼の充血,視力低下を自覚し,はなみずき眼科を受診した。左眼視力は0.6(0.8×−1.5D()cyl−2.25D 78°),左眼圧は26mmHg,左眼に毛様充血,IOLの瞳孔捕獲を認めた。散瞳下でIOL整復を行ったのち,縮瞳薬で治療するも瞳孔捕獲の再発を繰り返した。Tram-track suture法にて12時および6時方向に縫着用10-0プロリン糸をIOLと虹彩間に通糸し,IOLの脱出をブロックした。術後眼圧は正常化し,裸眼視力および乱視も改善した。OPD-Scan®Ⅲ(NIDEK社)によりコントラスト感度を波面収差から他覚的にシミュレーションした解析グラフのarea ratio値は,術前の14.3%から術後21.2%まで改善した。また,前眼部光干渉断層計(AS-OCT/CASIA2)によりIOL前面に2本平行したブロック糸が確認でき,IOLとの距離は左右均等,IOLの傾きと偏位は軽度で,術後観察2年間再発はなく経過良好であった。
結論:Tram-track suture法は縫着IOLの偏位,瞳孔捕獲の治療に有効で,CASIA2 AS-OCTはIOL偏位の評価に有用であった。
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