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特集 第72回日本臨床眼科学会講演集[1] 原著
新しい計算式Barrett UniversalⅡと他計算式との白内障術後屈折誤差精度の検討
著者: 都村豊弘1 野本浩之2 山地英孝3
所属機関: 1高松市民病院附属香川診療所眼科 2野本眼科 3白井病院
ページ範囲:P.347 - P.354
文献購入ページに移動対象と方法:対象は過去3年間に白内障手術を施行した189例324眼。IOLはNS-60YG(SZ-1;NIDEK社),角膜曲率半径と前房深度はTMS-5(TOMEY社),眼軸長測定はOA-1000(TOMEY社)のContactモードで測定した。IOL定数は過去4年間に当診療所で施行した300眼よりパーソナルA定数を算出し,BUⅡ式(B群),SRK/T式(S群)に使用した。Haigis式はDr. Hillのウェブサイト(HH群),TOMEY(HT群)に依頼し算出したものを使用した。それらIOL定数を用い,同じIOL度数における予測屈折値を各式で算出した。術後1か月に他覚屈折値をもとに自覚屈折値を算出し,予測屈折値と比較した。
結果:術後1か月における屈折値誤差平均値(絶対値平均値)はB群0.01±0.42(0.32±0.26)D,S群0.05±0.43(0.34±0.26)D,HH群−0.09±0.44(0.34±0.29)D,HT群0.04±0.44(0.34±0.29)Dであった。各群間の有意差は平均値であったが,絶対値ではなかった(平均値p<0.01,ANOVA,絶対値平均値p=0.634,クラスカル・ウォリス検定)。眼軸長別誤差平均値(B群,S群,HH群,HT群)は22mm未満(0.14,0.12,−0.04,0.10)D,22〜24.5mm未満(0.01,0.06,−0.11,0.02)D,24.5mm以上(−0.10,−0.16,0.06,0.16)Dであった。また,±0.50(±1.00)D以内に入った割合はB群80.9(96.9)%,S群78.7(97.2)%,HH群76.2(96.6)%,HT群77.8(97.2)%であった。各群間で有意差はなかった(±0.50D以内p=0.858,±1.00D以内p=0.982,χ2検定)。
結論:BUⅡ式は,SRK/T式やHaigis式と同等もしくはそれ以上の予測精度を示した。
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