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臨床報告
心因性視覚障害における視覚関連基礎スキルアセスメント(WAVES)の応用
著者: 松浦一貴1 寺坂祐樹1 今岡慎弥1 唐下千寿2 奥村智人3
所属機関: 1野島病院眼科 2鳥取大学医学部視覚病態学分野 3大阪医科大学LDセンター
ページ範囲:P.429 - P.437
文献購入ページに移動症例と所見:1例は10歳,女児で,矯正視力は右0.2,左0.1であり,求心性視野狭窄があった。1か月前から両親が別居していた。他の1例は9歳,女児で,矯正視力は右0.3,左0.3であり。求心性の視野狭窄とらせん状視野があった。母親が夜勤をするようになり,1人で留守番をすることが多かった。
経過:両症例とも眼科と脳神経科での検査では病変がなく,心因性視覚障害と診断された。WAVESでは,視覚情報を手を介して表現する「目と手の協応」は正常であったが,図形を認知する視知覚が著しく低下していた。両症例とも,視力,視野,WAVESは1年以内に正常化した。
結論:今回の2症例は,視覚認知機能の低下により心因性視覚障害が生じたことを示している。一般的に,心因性視力障害の診断は,視力低下や視野狭窄などの典型所見に加え,原因となるストレスがある状況下で,他の原因疾患を除外することで行われ,視覚認知は評価されない。WAVESが一般的な眼科検査で評価しにくい高次視機能障害の診断に使われることが期待される。
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