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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科73巻4号

2019年04月発行

文献概要

特集 第72回日本臨床眼科学会講演集[2] 原著

線維柱帯切除術後にレーザー切糸による低眼圧を生じた症例の検討

著者: 松崎絵里子1 春日俊光1 山口昌大1 松田彰1

所属機関: 1順天堂大学医学部眼科学講座

ページ範囲:P.451 - P.455

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要約 目的:順天堂大学医学部附属順天堂医院にて線維柱帯切除術(TLE)を施行し,術後にレーザー切糸(LSL)を施行した患者のうち,LSL施行後に低眼圧を起こすリスク因子について検討する。

対象と方法:2016年4月〜2018年3月にTLEを施行し,術後にLSLを施行された81例81眼を対象としてレトロスペクティブに検討を行った。LSL後に眼圧5mmHg以下となり,浅前房もしくは脈絡膜剝離を生じた症例を低眼圧と定義し,リスク因子について多重ロジスティック回帰分析を用いて検討した。

結果:7眼(8.6%)においてLSL後に低眼圧を認めた。統計学的には年齢(オッズ比1.18),性別(男性)(オッズ比62.2),術前の眼圧値(オッズ比1.22),手術日から初回LSLまでの日数(オッズ比0.40)が有意な因子であった(すべてp<0.05)。

結論:TLE術後のLSL後に発症する低眼圧には,年齢,性別,術前の眼圧値,手術日から初回LSL施行までの日数が関与している可能性が推定された。

参考文献

1)日本緑内障学会:緑内障診療ガイドライン(第4版).日眼会誌122:1-53,2018
2)Morinelli EN, Sidoti PA, Heuer DK et al:Laser suture lysis after mitomycin C trabeculectomy. Ophthalmology 103:306-314, 1996
3)Bardak Y, Cuypers MH, Tilanus MA et al:Ocular hypotony after laser suture lysis following trabeculectomy with mitomycin C. Int Ophthalmol 21:325-330, 1998
4)南 泰明・池田陽子・森 和彦・他:円蓋部基底トラベクレクトミー術後におけるレーザー切糸術のタイミングと眼圧.あたらしい眼科27:695-698,2010
5)Fukuchi T, Ueda J, Yaoeda K et al:The outcome of mitomycin C trabeculectomy and laser suture lysis depends on postoperative management. Jpn J Ophthalmol 50:455-459, 2006
6)Li X, Filek R, He X et al:Risk factors for flat anterior chamber after glaucoma filtration surgery. Int J Ophthalmol 11:1322-1329, 2018

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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