文献詳細
文献概要
特集 第72回日本臨床眼科学会講演集[2] 原著
複数回の再発を繰り返した翼状片の1例
著者: 小森翼12 土至田宏1 朝岡聖子1 大谷洋揮1 市川浩平1 林雄介1 松崎有修1 太田俊彦1
所属機関: 1順天堂大学医学部附属静岡病院眼科 2順天堂大学医学部眼科
ページ範囲:P.477 - P.482
文献購入ページに移動症例:患者は58歳,男性。右眼の再発を繰り返す翼状片に対して過去5年間に2眼科医院で計5回の手術歴あり,精査加療目的で当院に紹介された。
所見と経過:右眼の初診時矯正視力は0.3で,鼻側角膜に再発翼状片を認めた。当院での初回手術術式は翼状片切除+羊膜移植術であったが3か月後に再発した。3年後に当院で2回目の手術となる翼状片切除+有茎弁移植+マイトマイシンC(MMC)塗布を施行するも2か月後に再発した。1年後に翼状片切除+表層角膜移植術を施行するも2か月後に移植片融解と再発を生じた。1年後に無切除Z型切開回転術を施行するも4か月後に再発した。8か月後に当院5回目,通算10回目の手術を翼状片切除+Host結膜反転縫合法(反転法)併用有茎弁移植術+MMC塗布の術式で計画するも,結膜下組織の癒着が強く有茎弁作製を断念。翼状片頭部と体部の一部を切除後MMC塗布し,洗浄後に翼状片断端を反転させ強膜に縫着した。術後は1年6か月間再発がなく,右眼術後視力は0.7(矯正不能)を維持している。全手術後の投薬内容は0.1%ベタメタゾン点眼4回/日,0.5%レボフロキサシン点眼4回/日,ブロムフェナクナトリウム点眼2回/日であった。
結論:翼状片が複数回再発した本例では,翼状片切除+反転法+MMC塗布により術後1年6か月間再発がない。
参考文献
掲載誌情報