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特集 第72回日本臨床眼科学会講演集[2] 原著
顆粒状角膜ジストロフィのため治療的レーザー角膜切除術を必要とした6歳女児の1例
著者: 春木智子1 唐下千寿1 大谷史江1 小松藍子1 蔵増亜希子2 井上幸次1
所属機関: 1鳥取大学医学部視覚病態学教室 2鳥取市立病院眼科
ページ範囲:P.483 - P.489
文献購入ページに移動症例:6歳,女児。3歳児健診で弱視の疑いを指摘され,近医を受診し,両遠視,顆粒状角膜ジストロフィを認めた。完全矯正眼鏡にて遠視治療を開始され,4歳時に当科紹介初診となった。初診時の視力は右(0.8),左(0.7),両親は親近婚ではないが,両眼ともに顆粒状混濁を認めた。4歳という年齢を考慮し,混濁がさらに進行するまでは経過をみることとした。徐々に混濁は増強し,6歳時に視力が右(0.3),左(0.4)まで低下してきたため,全身麻酔下にて両眼PTKを施行した。PTK後の診察は疼痛のため困難であったが,3か月後には,右(0.8),左(0.8p)まで回復した。
考按:顆粒状角膜ジストロフィは通常heterozygousの状態で発症するが,稀にhomozygousとなったときは重症化し,若年発症となり,かつPTK後早期に再発することが知られている。6歳でPTKを必要とする例はきわめて珍しい。今後数年以内に再発することが予想されるが,各々の眼の治療期間を空け,可能な限り角膜移植を行う時期を遅らせるために,今後は片眼ずつのPTK治療を行っていくことを考慮している。
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