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特集 第72回日本臨床眼科学会講演集[2] 原著
第1期梅毒の早期神経梅毒に伴う視神経網膜炎の1例
著者: 山川百李子1 日下真実2 田口朗3 秋元正行2
所属機関: 1北野病院 2大阪赤十字病院 3独立行政法人国立病院機構栃木医療センター
ページ範囲:P.497 - P.502
文献購入ページに移動症例:51歳,男性が右眼の視力低下で受診した。3か月前に風俗店で性交渉の機会があった。
所見と経過:矯正視力は右0.9,左1.5であった。中心フリッカ値は右28Hz,左43Hzで,右眼の相対的瞳孔求心路障害(RAPD)は陽性であった。右眼に乳頭の顕著な腫脹と乳頭に連続する漿液性網膜剝離があった。視野検査で盲点と連続する中心比較暗点があった。造影MRIで球後の視神経に異常はなく,血液の梅毒反応は強陽性であった。左眼に異常所見はなかった。神経内科での髄液検査で梅毒反応が強陽性であり,陰部潰瘍があったが,皮膚症状はなかった。第1期梅毒の神経梅毒として,ペニシリンの大量投与を行った。19日後に右眼の網膜剝離は消失し,視力は1.5に回復した。
結論:梅毒の眼症状は第2期以降に生じることが多いが,本症例のように早期の梅毒でも急性の神経網膜炎が発症することがある。
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