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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科73巻4号

2019年04月発行

文献概要

特集 第72回日本臨床眼科学会講演集[2] 原著

全身麻酔手術中にラテックスアレルギーによるアナフィラキシーショックをきたした1例

著者: 山田将之1 四宮加容1 大串陽子1 富山芳信2 鉄谷真由3 三田村佳典1

所属機関: 1徳島大学病院眼科 2徳島大学病院手術部 3徳島大学病院皮膚科

ページ範囲:P.523 - P.527

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要約 目的:全身麻酔下での眼科手術中にラテックスアレルギー(LA)によるアナフィラキシーショックに陥った症例の報告。

症例:5歳,男児。水平眼振とそれによる左へのface turnを認める先天眼振に対し,全身麻酔下での手術の方針となった。

所見と経過:全身麻酔導入の際に問題はなかったが,手術を開始して10分後,動脈血酸素飽和度が急激に低下した。原因精査のため一時手術を中断した。挿管チューブトラブルは否定的であったが,血圧低下と腹部皮膚の発赤を認め,アナフィラキシーショックに陥ったと判断した。対応としてアドレナリン,ステロイド,抗ヒスタミン薬の静脈投与を行った。その後,動脈血酸素飽和度と血圧が改善したため,再ドレーピングを行い予定通りの眼振手術を終了した。後日,原因精査のため皮内テストやプリックテスト,特異的IgE抗体検査などを施行し,検査結果からLAによるアナフィラキシーショックと判断した。

結果:LAの眼科領域の報告はほとんどない。しかし,本症例のように眼科手術でもLAによるアナフィラキシーショックをきたすことがある。発症予防のため,患者がLAのハイリスク群ではないか事前に丁寧な問診を行い,ハイリスク群であれば天然ゴム含有の医療用品の使用回避など,ラテックスフリーの環境で医療を進めることが重要である。

参考文献

1)日本ラテックスアレルギー研究会:ラテックスアレルギー安全対策ガイドライン2013—化学物質による遅延型アレルギーを含む.1-21,協和企画,東京,2013
2)Nutter AF:Contact urticaria to ubber. Br J Dermatol 101:597-598, 1979
3)秋田浩孝・松永佳世子・冨高晶子・他:ラテックスアレルギー患者2例—手術時における予防対策.皮膚41:319-323,1999
4)Sekiya K, Watai K, Taniguch M et al:Latex anaphylaxis caused by a Swan-Ganz catheter. Inter Med 50:355-357, 2011
5)Malsy M, Leberle R, Ehehalt K et al:Anaphylactic reaction 5 minutes after the start of surgery:a case report. BMC Res Notes. doi:10.1186/s13104-015-1060-9, 2015
6)Meng J, Rotiroti G, Burdett E et al:Anaphylaxis during general anaesthesia:experience from a drug allergy center in the UK. Acta Anaesthesiol Scand 61:281-289, 2017
7)光畑裕正:全身麻酔中のアナフィラキシー.日本臨床麻酔学会誌32:479-487,2012
8)深森史子・塚原祐子・塚原康友:ラテックスアレルギー患者の白内障手術経験.臨眼55:977-980,2001
9)Bergwerk, Kodsi SR:Latex allergy associated with the latex cover on the Tono Pen. Am J Ophthalmol 127:91, 1999

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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