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特集 第72回日本臨床眼科学会講演集[2] 原著
全身麻酔手術中にラテックスアレルギーによるアナフィラキシーショックをきたした1例
著者: 山田将之1 四宮加容1 大串陽子1 富山芳信2 鉄谷真由3 三田村佳典1
所属機関: 1徳島大学病院眼科 2徳島大学病院手術部 3徳島大学病院皮膚科
ページ範囲:P.523 - P.527
文献購入ページに移動症例:5歳,男児。水平眼振とそれによる左へのface turnを認める先天眼振に対し,全身麻酔下での手術の方針となった。
所見と経過:全身麻酔導入の際に問題はなかったが,手術を開始して10分後,動脈血酸素飽和度が急激に低下した。原因精査のため一時手術を中断した。挿管チューブトラブルは否定的であったが,血圧低下と腹部皮膚の発赤を認め,アナフィラキシーショックに陥ったと判断した。対応としてアドレナリン,ステロイド,抗ヒスタミン薬の静脈投与を行った。その後,動脈血酸素飽和度と血圧が改善したため,再ドレーピングを行い予定通りの眼振手術を終了した。後日,原因精査のため皮内テストやプリックテスト,特異的IgE抗体検査などを施行し,検査結果からLAによるアナフィラキシーショックと判断した。
結果:LAの眼科領域の報告はほとんどない。しかし,本症例のように眼科手術でもLAによるアナフィラキシーショックをきたすことがある。発症予防のため,患者がLAのハイリスク群ではないか事前に丁寧な問診を行い,ハイリスク群であれば天然ゴム含有の医療用品の使用回避など,ラテックスフリーの環境で医療を進めることが重要である。
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