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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科73巻5号

2019年05月発行

文献概要

特集 第72回日本臨床眼科学会講演集[3] 原著

治療として硝子体手術を行った術後感染性眼内炎の検討

著者: 大庭慎平1 山田晴彦1 加賀郁子1 髙橋寛二1

所属機関: 1関西医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.581 - P.587

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要約 目的:術後感染性眼内炎の治療として硝子体手術を行った症例を検討した。

方法:2006年1月〜2018年4月の間,関西医科大学附属病院で術後感染性眼内炎の治療として硝子体手術を行った症例は13例13眼であった。濾過胞炎や移植片からの感染症例は除外した。最終小数視力0.5以上であった6眼を視力良好群とし,0.4以下であった7眼を視力不良群として視力予後に影響する因子を検討した。

結果:視力不良群では加齢黄斑変性,末期緑内障,網膜色素変性,網膜中心静脈閉塞症などの眼疾患や,アトピー性皮膚炎,腎不全,ダウン症,認知症といった全身疾患があり,うち3眼は眼内炎のために光覚なしとなった。発症時の眼痛は視力不良群で有意に多く,硝子体術後に眼底が透見できるようになるまでの期間は視力不良群で有意に長かった。

結論:元来の眼疾患や全身疾患がなければ,術後感染性眼内炎は速やかな硝子体手術により視力予後が良好に保たれることがあり,全身疾患の併存に気をつけて治療にあたる必要がある。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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