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特集 第72回日本臨床眼科学会講演集[3] 原著
OCTによる経過観察が有用であった網膜細動脈瘤の1例
著者: 平林博1 若林真澄2 平林一貴2
所属機関: 1平林眼科医院 2信州大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.595 - P.601
文献購入ページに移動症例:44歳,女性。高眼圧症のため定期的にOCTにて網膜黄斑部を測定していたが,偶然左眼に網膜細動脈瘤が発見された。細動脈瘤の大きさは,細動脈瘤を含んだ網膜厚において長径約2,000μm,最大網膜高は網膜色素上皮より465μmであった。過去のOCT像を再検討したところ,8か月前に327μmと肥厚し始め,この時点が発生点と考えられた。1か月後に477μmと増大したため,カルバゾクロムスルホン酸ナトリウム水和物錠を処方したところ徐々に減高し,12か月後には280μmと退縮していった。細動脈瘤高形成の速度,加速度変化を分析したところ,増大局面は一定速度ではなく,若干速度の増減を繰り返しながら常に増大する傾向にあった。OCT angiographyでは,細動脈瘤内部に流入血管様の異常血管以外は瘤内の血流は描出されなかった。瘤内に血栓や線維化形成が生じていると考えられた。
結論:網膜細動脈瘤の経過観察において,OCTはその増大や退縮などの変化をみるのに有用であった。
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