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特集 第72回日本臨床眼科学会講演集[3] 原著
意図的巨大裂孔作成が奏効した巨大網膜囊胞を伴うアトピー性網膜剝離
著者: 西村太吾1 奥一真1 近藤寛之1
所属機関: 1産業医科大学眼科学教室
ページ範囲:P.661 - P.665
文献購入ページに移動症例:アトピー性皮膚炎を有する18歳男性。右眼の視力低下のために近医で網膜剝離と診断され受診した。
所見と経過:右眼は矯正視力0.05,下方半周に3つの巨大網膜囊胞を伴う網膜剝離を認めた。白内障併施硝子体手術を行ったところ,下方に鋸状縁裂孔があり,広範な網膜下増殖組織を認めた。下方半周網膜に意図的巨大裂孔を作成し,網膜を翻転させ網膜下増殖組織を摘出した。術中OCTでは囊胞の構造を観察でき,菲薄化した内壁,風船状に突出した外壁,外壁から色素上皮につながる牽引組織を観察できた。囊胞を外層側より穿刺し囊胞内液を吸引・除去し,液体パーフルオロカーボン・シリコーンオイル置換を行った。術後網膜は復位し,囊胞の範囲は平坦化した。4か月後にシリコーンオイルを抜去し,19か月後に眼内レンズを挿入した。最終視力は0.1にとどまった。
結論:術前はOCTの撮影ができなかったが,術中OCTにより網膜の病態変化が観察できた。意図的巨大裂孔作成により網膜下増殖組織の摘出と網膜囊胞の穿刺・吸引は比較的容易となり,有効な治療法の1つと考えた。
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