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特集 第72回日本臨床眼科学会講演集[4] 原著
スポットTMビジョンスクリーナーによる片側性先天鼻涙管閉塞の屈折スクリーニング
著者: 近藤紋加1 松村望1 浅野みづ季1 藤田剛史1 水木信久2
所属機関: 1神奈川県立こども医療センター眼科 2横浜市立大学大学院医学研究科視覚器病態学
ページ範囲:P.787 - P.791
文献購入ページに移動方法:2017年4月〜2018年3月に神奈川県立こども医療センター眼科を初診した涙器疾患の小児138例のうち,片側性CNLDOと臨床診断した生後6〜30か月の94例(男児48例,女児46例,平均月齢13.7±6.2か月)を対象に前向きに研究した。初診時にスポットを可能であれば撮影した。球面,円柱,左右差のいずれかが1.0Dを超えた症例に対し,可能な場合はシクロペントラート塩酸塩点眼液による調節麻痺下に再度撮影を行った。弱視リスクは,米国小児眼科斜視学会による基準(12〜30か月:遠視>4.5D,近視>−3.5D,乱視>2.0D,不同視>2.5D)を用いた。
結果:初診時に63例(67%)が撮影可能であった。未散瞳での平均等価球面値は僚眼+0.09±0.64D,患眼+0.15±0.69Dで統計学上の有意差はなかった。調節麻痺下の再検査は6例(10%)に行い,平均等価球面値は僚眼+2.81±1.05D,患眼+3.85±1.81Dであり,統計学上の有意差があった(p=0.04,対応のあるt検定)。弱視リスク基準に8例(13%)(遠視3例,乱視5例)が該当した。
結論:片側性CNLDOの13%に弱視リスクに該当する屈折異常があった。スポットによるCNLDOの乳幼児に対する屈折スクリーニングは有用と考えられた。
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