滲出型加齢黄斑変性に対するアフリベルセプトtreat-and-extendの最大投与間隔延長の検討
著者:
新井陽介
,
松本英孝
,
森本雅裕
,
向井亮
,
高橋牧
,
永井和樹
,
中村孝介
,
高山真祐子
,
三村健介
,
得居俊介
,
宮久保朋子
,
秋山英雄
ページ範囲:P.913 - P.919
要約 目的:滲出型加齢黄斑変性に対するアフリベルセプト硝子体内注射を用いたtreat-and-extend(TAE)の最大投与間隔延長について検討する。
対象と方法:2013年12月〜2015年1月に群馬大学医学部附属病院にて,アフリベルセプト硝子体内注射(IVA)によるTAEで2年間治療を継続できた未治療の典型加齢黄斑変性(tAMD)およびポリープ状脈絡膜血管症(PCV)127例129眼を対象とした。最初の2年間は最大投与間隔を12週とし,2年間再燃がない症例については3年目に最大投与間隔を16週に延長した。最大投与間隔を16週に延長できた症例の3年目の再燃の有無,視力,滲出性変化の推移,治療回数を評価した。
結果:全症例129眼(tAMD 68眼,PCV 61眼)のうち,2年間で再燃したのは86眼(66.7%),再燃しなかったのは43眼(33.3%)であった。再燃がなかった43眼のうち,アフリベルセプトの最大投与間隔を16週に延長し,3年間経過を追えた症例は40眼(tAMD 14眼,PCV 26眼)であった。その40眼中6眼(15%,tAMD 2眼,PCV 4眼)で3年目に再燃がみられたが,投与間隔を短縮することによって滲出性変化を抑えることができた。視力(logMAR平均±標準誤差)は,再燃なし群で2年時0.15±0.06,3年時0.17±0.18,再燃あり群で2年時0.17±0.18,3年時0.21±0.18と,視力変化量は両群間に有意差はなかった。3年目の平均治療回数は,再燃なし群が3回,再燃あり群が3.7回であった。
結論:IVAによるTAEの3年目の最大投与間隔を16週に延長した。再燃した症例もあったが,投与間隔を短縮することによって視力と滲出性変化の悪化を防ぐことができた。