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特集 第72回日本臨床眼科学会講演集[5] 原著
バルベルト®緑内障インプラント挿入後眼内炎の3例
著者: 木佐貫祐揮1 小菅正太郎1 木崎順一郎1 和田悦洋1 吉野正範1 恩田秀寿1
所属機関: 1昭和大学医学部眼科学講座
ページ範囲:P.884 - P.889
文献購入ページに移動症例:症例1は50歳,男性。アトピー性皮膚炎に伴う右続発性緑内障に対しBGI前房内挿入術を施行した。6か月後にチューブ露出と眼内炎を認め,BGI温存,結膜縫合術,硝子体手術を施行した。術後は眼内炎の再発はなく6年が経過し,矯正視力0.07,眼圧13mmHgであった。症例2は69歳,男性。糖尿病網膜症に伴う左新生血管緑内障に対しBGI前房内挿入術を施行した。2か月後にチューブ露出と眼内炎を認めBGI摘出術,前房洗浄術を施行した。術後は眼内炎の再燃はなく経過したが,高眼圧が持続し失明した。症例3は36歳,男性。アトピー性皮膚炎に伴う続発性緑内障で,両眼に複数回の緑内障手術の既往がある。左BGI前房内挿入後,チューブ露出にて再挿入術を2回施行した。再度の露出に対しチューブ埋没術を検討中に眼内炎を発症,硝子体手術,BGI後房に再挿入した。術後は眼内炎の再発はなく4年が経過し,眼圧23mmHg,矯正視力20cm指数弁であった。
結果:BGI挿入後の眼内炎を3例経験した。いずれも手術加療で眼内炎は治癒したが,BGI抜去した1例は失明した。
結論:BGI挿入後の眼内炎に対しBGIを除去するかどうかについて検討を要する。アトピー性皮膚炎の既往のある2症例ではチューブ露出からの感染が推定された。
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