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特集 第72回日本臨床眼科学会講演集[5] 原著
前眼部光干渉断層装置CASIA2を用いた水晶体の傾斜と偏心の検討
著者: 五藤智子1 鄭暁東12 中岡弓1 白石敦2 本山真希1
所属機関: 1はなみずき眼科 2愛媛大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.955 - P.961
文献購入ページに移動対象と方法:はなみずき眼科において,白内障手術連続症例120例230眼(平均年齢73.2±8.4歳)を検討した。術前視力,眼圧,等価球面,眼軸長(OA-2000,Tomey)を計測した。また,CASIA2(Tomey)は白内障術前モードにて撮影し,前房深度,前房幅,水晶体厚,水晶体の傾斜と偏心を計測した。水晶体の傾斜と偏心への関与因子について多変量相関解析(JMP ver. 14)を行った。
結果:男性54例102眼,女性66例118眼を検討した。性差は,眼軸において男性が有意に長かった(p=0.015)。水晶体の平均傾斜は4.6±1.5°で,方位は231.1±98.7°であった。傾斜は年齢と有意に正の相関(Spearman's rank correlation coefficient r=0.211,p=0.034),眼軸長と負の相関(r=−0.3475,p=0.004)を示した。水晶体の平均偏心は0.15±0.08mmで,方位は188.9±100.4°であった。偏心は年齢と有意に正の相関(r=0.2401,p=0.016),前房深度と負の相関(r=−0.222,p=0.025)を示した。傾斜度と偏心量とが有意に正の相関を示した(r=0.451,p<0.001)。
結論:CASIA2による水晶体の形態解析が可能であった。水晶体の傾斜と偏心は加齢によって増加する一方,眼軸長および前房深度にも相関する可能性を示唆した。
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