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臨床報告
内臓型トキソカラ症発症から5年後に眼トキソカラ症を発症した1例
著者: 野田雄己1 薄井紀夫1 塩谷尚子1 猪狩栄利子1 内海通1
所属機関: 1総合新川橋病院眼科
ページ範囲:P.1007 - P.1012
文献購入ページに移動症例:患者は46歳,女性。20日前から右眼霧視を自覚した。近医でぶどう膜炎と診断され加療を行っていたが改善なく当院を受診した。5年前に内臓型トキソカラ症の既往がある。
所見:矯正視力は右0.4で,右眼にわずかな前房炎症細胞と濃厚な網目状硝子体混濁を認めた。初診から10日後,網膜下方最周辺部に白色隆起性病巣,また耳側周辺部にも白色病巣が出現した。所見および既往歴から眼トキソカラ症と診断した。その後,硝子体の混濁および器質化が増強し網膜牽引を認めたため,硝子体手術を施行した。術中採取した硝子体液からは抗トキソカラ抗体ならびにトキソカラDNAが検出され確定診断を得た。初回手術後も増殖膜による牽引性網膜剝離が2度生じ,その都度硝子体手術を行い,最終矯正視力は0.4で病勢は鎮静化している。
結論:内臓型トキソカラ症の既往がある場合,長期間経過していても眼トキソカラ症を発症する可能性がある。
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