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特集 第72回日本臨床眼科学会講演集[6] 原著
ピッグテールプローブを用いて対側涙点よりチューブを留置できた涙小管断裂の1例
著者: 阿部佳史1 昌原英隆1 永岡卓1 坂本理之1 前野貴俊1
所属機関: 1東邦大学医療センター佐倉病院眼科
ページ範囲:P.1073 - P.1077
文献購入ページに移動症例:患者は71歳,男性。転倒し左眼周囲を受傷した。受傷3日後に左下涙小管断裂で当科に紹介され受診した。初診時,左鼻根部の眼瞼裂傷と左下涙小管断裂を認めた。受傷4日後に左下涙小管再建術を施行した。
所見:涙小管の中枢側断端を検索するも発見できず,ピッグテールプローブを上涙点から挿入し同定した。次に同定した中枢側涙小管にチューブ挿入を試みたが,断端組織の挫滅と収縮が強くチューブ先端が挿入できなかった。そこで,チューブの先端を切断しピッグテールプローブの先に連結したところ容易に上涙点より引き抜くことができた。さらに,上涙点から涙道内視鏡を用いて挿入したシースと連結して下鼻道へと引き抜くことで鼻腔まで安全に挿入できた。チューブ他端も上涙点から涙道内視鏡を使用してチューブを挿入した。術後の左眼通水性は良好であった。
結論:涙小管の中枢側断端に直接チューブを挿入できない場合,ピッグテールプローブにチューブを連結し,対側涙点より引き抜いてから挿入する方法は安全かつ有効であると考えられた。
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