文献詳細
文献概要
特集 第72回日本臨床眼科学会講演集[7] 原著
顔面肩甲上腕型筋ジストロフィ1型に合併したCoats様病変に硝子体手術を施行した1例
著者: 袖野貴弘1 坂本理之1 吉田いづみ1 酒井麻夫1 前野貴俊1
所属機関: 1東邦大学医療センター佐倉病院眼科
ページ範囲:P.1163 - P.1168
文献購入ページに移動症例:66歳,男性。4か月前から神経内科でFSHDと診断され,2か月前からの右眼視力低下を主訴に近医を受診し,手術目的で当科へ紹介となった。初診時の右眼矯正視力は0.2であった。右眼の眼底に,中間周辺部から周辺部にかけて無血管野およびNVを,アーケード血管内を中心としてFVMとこれに伴う牽引性網膜剝離を認めた。経瞳孔的に汎網膜光凝固した後に,白内障同時硝子体手術を施行した。黄斑近傍のNVより発生するFVMを認めた。術後10か月で矯正視力は0.5に改善し,血管新生緑内障などの合併症はなく,経過良好である。
結論:FSHDのCoats様病変に対してアーケード内にFVMがある症例では,黄斑近傍にNVが存在する可能性があるため,増殖膜処理を行う際には,医原性黄斑円孔などに注意する必要があると考えられた。
参考文献
掲載誌情報