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特集 第72回日本臨床眼科学会講演集[7] 原著
難治性視神経炎に単純血漿交換が著効した1例
著者: 三戸裕美1 三木淳司12 後藤克聡2 荒木俊介2 石田順子1 家木良彰1 桐生純一1
所属機関: 1川崎医科大学眼科教室1 2川崎医療福祉大学医療技術学部感覚矯正学科
ページ範囲:P.1175 - P.1181
文献購入ページに移動症例:既往に糖尿病のある47歳,女性。4日前からの右眼視力低下,眼痛を主訴に当院を受診した。視力は右手動弁,左(1.5),限界フリッカ値(CFF)は右測定不能,左39Hzで,RAPDx®によるRAPD amplitude scoreは10.55と右相対的瞳孔求心路障害(RAPD)陽性であった。右視神経乳頭は軽度の発赤・腫脹を認め,左眼に異常所見はなかった。造影MRIでは右視神経全長の造影効果を認め,重篤な右球後視神経炎と診断した。髄液検査では蛋白増加を認め,視神経炎初発の多発性硬化症・視神経脊髄炎の可能性が示されたが,頭部・脊髄MRIで異常所見はなく,抗アクアポリン4抗体などの自己抗体は陰性であった。第7病日からステロイドパルス療法を2クール施行したが,視機能・造影MRI所見に変化なく,ステロイド抵抗性であった。光干渉断層計(OCT)で右網膜内層の明らかな菲薄化がなかったため,血漿浄化療法が有効ではないかと考え,第19病日より合計6回の単純血漿交換を実施した。第30病日の造影MRIの造影効果は消失し,第88病日には右視力(1.5),右CFF 27Hz,RAPD amplitude score 2.27と著明な視機能の改善を認めたが,OCTによる網膜内層は進行性に菲薄化した。発症から10か月間,再発や脊髄炎の発症はない。
結論:眼窩MRIで造影効果のあるステロイド抵抗性視神経炎に対し,単純血漿交換が有用であった。
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