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臨床報告
レーザービトレオライシスの誤照射により黄斑下血腫を発症し手術加療を要した1症例
著者: 小菅正太郎1 和田悦洋1 木崎順一郎1 木佐貫祐揮1 嶌嵜創平1 恩田秀寿1
所属機関: 1昭和大学医学部眼科学講座
ページ範囲:P.101 - P.106
文献購入ページに移動症例:51歳,男性。近医にて,3回目のビトレオライシスを施行時にレーザーが左網膜に当たり,直後からの視力低下を自覚した。翌日,他の近医を受診し,黄斑下血腫の診断でSF6ガス注入術を施行するも視力は改善せず,受傷後4日目に当院を紹介され受診となる。初診時の視力は右(1.0),左手動弁,眼圧は右19mmHg,左18mmHg。左前眼部は清明,左眼底は硝子体出血のため透見不能であった。翌日入院し,左水晶体温存硝子体手術を施行した。術中,硝子体出血を切除するとアーケード内全体に広がるドーム状の網膜下血腫を認めた。内境界膜を剝離し,網膜下に空気を注入し,硝子体を空気置換し,手術を終了した。視神経乳頭から約3mm離れた上耳側アーケード内網膜に白点を認め,そこにレーザーが照射されたと考えられた。術後,黄斑下の血腫は消退したが,黄斑円孔を認め,二度の手術を施行するも左視力は(0.1)にとどまっている。
結論:レーザービトレオライシスによる飛蚊症に対する治療では,このような重篤な合併症が存在するので注意が必要である。
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