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増刊号 すべて見せます! 患者説明・同意書マニュアル—[特別Web付録]説明書・同意書の実例99点 5 神経眼科
甲状腺眼症に対する放射線治療
著者: 渡邉志穂1 淡河恵津世2 廣松雄治34
所属機関: 1久留米大学医学部眼科学教室 2久留米大学医学部放射線腫瘍センター 3久留米大学医学部内科学講座内分泌代謝内科部門 4新古賀病院甲状腺センター
ページ範囲:P.75 - P.77
文献購入ページに移動はじめに
・Basedow病とは,甲状腺に対する自己免疫により甲状腺機能が亢進し,甲状腺腫や眼症,thyroid heart(不整脈・心不全),中毒症状(四肢麻痺),甲状腺クリーゼなどを起こす。甲状腺眼症とは,甲状腺機能異常に関連して起こる眼瞼眼窩内組織に対する自己免疫疾患で,外眼筋の(甲状腺刺激レセプター抗体などによる)炎症症状である。
・球後組織内に浸潤した活性化Tリンパ球が線維芽細胞を活性化し,グリコサミノグリカンの産生が亢進した結果,組織の浮腫や外眼筋の肥厚が引き起こされ,眼球突出などが起きる。放射線療法は,この眼窩に浸潤した活性化Tリンパ球を抑制する。
・眼症は活動期と非活動期に分けられ,活動期でも重症度により治療法が異なるので,その評価が大切である。また,甲状腺機能が良好でも眼症は進行・再発することがあり,経過観察が重要である。
・治療は禁煙し甲状腺機能の正常を保ちつつ,消炎治療を行うが,その第一選択はパルス療法である。一般的には,パルス治療の効果不十分時・治療後再炎時に放射線治療が用いられるが,併用することで効果が増強する。また,ステロイド投与総量を抑制できるという報告もある1)。
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