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増刊号 すべて見せます! 患者説明・同意書マニュアル—[特別Web付録]説明書・同意書の実例99点 8 角膜
結膜腫瘍切除術
著者: 西野翼1 横川英明1 小林顕1
所属機関: 1金沢大学附属病院眼科
ページ範囲:P.144 - P.145
文献購入ページに移動結膜腫瘍は球結膜,瞼結膜いずれにも,数多くの種類が発生しうる。眼腫瘍は,眼科臨床全般のなかでも馴染みにくい疾患,領域の1つとなりうるが,その原因として疾患が多岐にわたり,一般眼科臨床と関連が薄い用語が数多く存在することが挙げられる。眼科臨床医がすべての眼腫瘍を理解することは現実には困難であるが,頻度の高い腫瘍については,臨床的特徴やおおよその治療方針を理解しておく必要がある。特に悪性腫瘍については,診断の遅れが生命予後にも影響を及ぼす可能性があり,眼腫瘍専門医でなくとも診療にかかわる眼科医の責任は重い。幸い,結膜は薄く透明なため,多くの場合は腫瘍が露出ないしは透見しているため,おおかたの組織の由来を推定することができる。
病歴の聴取,視診,硝子棒などを用いての触診,細隙灯顕微鏡写真の撮影(図1,2),超音波生体顕微鏡(UBM),AS-OCT,必要に応じて採血やMRIなどの診察,検査を行う。結膜上皮下は非常に粗な組織で,腫瘍細胞が散布しやすいと考えられるため,悪性の可能性がある結膜腫瘍を切開生検・部分切除する際には,結膜腫瘍はできるだけ角膜輪部に近い部位を生検し,円蓋部結膜下に腫瘍が散布しないよう心がける。球結膜の悪性腫瘍が疑われる場合には,安全領域を1〜3mm程度とる。初回から安全域をとった全切除を行うか,生検+悪性時拡大切除を行うかなどの予定を決めるのが最も重要である。正確な臨床診断が,適切な手術プランにつながる1)。
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